雨庭で、敷地の治水対策

「雨庭(あめにわ)」とは、敷地に降る雨を敷地の中に集め、一時的に貯留し、ゆっくりと浸透させる構造を持つ植栽空間です。京都市ホームページ参照

豪雨時の水害対策と景観美を兼ね備える「雨庭」は、昨今、福岡・京都・世田谷を中心に広がっていますが、当社もパッシブデザインの観点から「雨庭」には大変共感していて、世田谷区でのプロジェクトのご縁を機に、自然の力を生かした、多様性のある「雨庭」をつくりたいと考えました。


敷地と地域流域に、安心な環境をつくる

30ミリ/時以上の雨に備える。敷地の中で雨を貯留・浸透する庭。

世田谷区では「雨庭」を目的としていなくても、水害対策として、1時間に30ミリの降水量を敷地内に貯留・浸透できる施設をつくりなさいという条例があります(建築物の規模によります)。

1時間に30ミリという雨量は、バケツをひっくり返すような激しい雨!
「雨庭の家」では、次のように道路に面した駐車スペースに一面、貯留浸透機能を持たせ、豪雨時でもより安心な治水対策をとっています。

世田谷区の条例に従い申請した範囲は、2つの駐車スペースと植栽エリアの一部です。

申請範囲 大きさ 貯留量 浸透量 合計(貯留浸透量)
雨庭駐車場1 幅2.9m / 長さ5.2m / 深さ22cm 1.25 ㎥/時 3.7 ㎥/時 4.95 ㎥/時  
雨庭駐車場2 幅2.0m / 長さ5.5m / 深さ12cm 0.46㎥/時 2.72 ㎥/時 3.18 ㎥/時 

計算結果から1時間に30mmの雨が降ったとしても、敷地全体の雨量を貯留・浸透できる構造になっています。(合計 約8㎥立米=8トン)

雨庭フェンスやグラウンドカバーなど、申請対象になっていない部分も合わせると、計算上は、1時間に100mmの猛烈な雨でも貯留・浸透することができます。(※雨の強さ:気象庁「雨の強さと降り方」参照)

 

▽ 作業前の駐車スペース。土は工事時の車や人の出入りで締め固められ、水はけが悪い

▽ねぎり、とこづけ(掘削し、平らに仕上げる)。くさり樋の直下など何箇所かはより深く掘削

▽ 溝には炭・藁・砕石など適度な隙間を開けて配置

▽ 要所に焼き杭。地中への浸透を高める

▽ 貯留槽全体に泥濾しのために、藁を敷いた上に、砕石を立てる

▽ さらに藁と砕石を二層にミルフィーユさせる。仕上げ後はこの姿は見えなくなる。

雨水は浸透し、湧水へ

この貯留槽に集まった雨水は、ゆっくりと地中に浸透していき、地層を通って国分寺崖線の湧水となります。
地中への浸透量・貯雨量が豊かであれば、それだけ雨の降らない年でも湧水を枯らすことはありません。湧水流域に生息する植物や生き物を守っていくこともできます。

▽「雨庭の家」その他の記事はこちらから。

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