「秦野の家」擁壁地の駐車スペース

「秦野の家」の土地は、購入時、コンクリート擁壁2mほどあり、駐車スペースがありませんでした。

通常であれば駐車スペースを確保するために、コンクリートガレージをつくるのですが、せっかくのこの素晴らしい景観を生かして、自然とつながる山道風景をつくりたい。そしてこの敷地が地域の方々にとっても、心地よい景観となり、この地の魅力を再認識できる場になってほしい。

そんな思いから、設計段階からガーデンデザイナーの正木覚さんと協力して家づくりを進めました。

▽購入時はこのような感じです。コンクリート擁壁に急な階段。

▽同じアングルで、竣工後。

小さな山道風景を構成しているのは、アプローチ・土留め・階段、そして駐車スペースの石垣。
庭はあえてつくりすぎず、家とともに草木が育っていくことを想定しています。植栽は美しさ・機能性を兼ね備えたポイントとなるところにだけ配置。

あるものを、より良く生かす「アップサイクル」


新しい駐車スペースの大きな特徴は、完成後のデザインだけではありません。
パッシブデザインでは、その土地にあるものを出来るだけ生かす工夫をします。

その一つがコンクリート擁壁。
コンクリート擁壁は、つるりとした表面材と、ゴツゴツとした裏ごめ(栗石や砂利を詰めてある)で次のようになっています。

この裏ごめが、白くとても綺麗でいい表情をしていたのです。そこで正木さんと相談して、裏ごめを表にして石垣をつくろうということになりました。同時に、表面材だった擁壁も、砕いて石垣の裏ごめへ。

本来ならばこれらは擁壁解体時に廃棄物となるものですが、この地の中でよりよく生かすことができ、廃棄するための費用も浮く結果になりました。

 

石垣を安定させてくれる草木


石垣はこれから時間を経るにつれて、石と石の間に草が生え、草木の根が入り込んでより崩れにくい状況をつくってくれます。

また、この庭づくりの工事では、第一線で活躍している大地再生のメンバーにも協力して頂きました。
工事により、保水力の高まった地中は雨水を蓄える力があります。そのため、雨が降った時も、泥水が地表から石垣へ滝のように流れ落ちるというリスクは大幅に減らすことができました。

先日、この庭づくりについて、正木さんと即席で動画をつくってまとめてみました。
よかったらご覧ください。

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