「空師」という仕事をご存知ですか?
クレーンが入らない場所などでクライミング技術と造園技術を使い高木剪定をする仕事です。
空に一番近い場所で作業する職業であったことが名前の由来らしいです。
多摩丘陵の家 の敷地内には高さ10mを超える樹木が7〜8本ありました。
自然樹形が美しく最小限の剪定で残せればと考えていましたが、昨年の大きな台風時は倒木が懸念され、道路に伸びた枝が電線に干渉、隣家からも心配の声が出ている状況でした。
そのため、維持管理や近隣状況を考えると思い切った剪定や伐採が必要でした。
安心や安全の為には残念だが仕方ない選択。。
建物改修工事に先立ち、昨年10月から剪定作業が始まりました。
空師は慣れたロープワークで剪定する枝元まで中空を登っていく。
チェーンソーや手鋸で次々に枝を伐採していく。
電線や隣家の塀があり、切った枝をそのまま下に落とすことは出来ないので、切る枝の根元にロープを廻し、枝を逆さ吊りにして地上まで下ろす。
高度なロープワークや剪定技術と合わせ熟練が必要な仕事です。
小さく見える枝も地上に下ろすと立派な高木。
数日かけ剪定作業が終わりました。
結果は・・想像を超えたものに!
大きく剪定された数本の大木が、まるで1本の株立樹木のように美しい佇まいとなり、絶妙な間合いで建物の魅力も引き出していたのです。
軽やかになった樹木に安心と安全を感じ、敷地や建物に明るく陽が注ぎ、場が凛とした空気感に包まれた。
クライアントや私にとって驚きの体験でした。
今回の仕事は空師の千田敦司さんと庭士の小野勝己さんの協働によるもの。
空師の千田さんは20代でロッククライミングを始め、山でのヘリコプター墜落事故現場において機体回収の応援を頼まれることもあるそう。今回は山梨県北杜市からわざわざ足を運んで頂きました。
そこに庭士の小野さんの造園技術や美的感覚が重なりました。
素晴らしいお仕事、ありがとうございます。
剪定された枝は小さく整え、薪ストーブの燃料として、今後冬の暖かさを担ってくれます。